はひふへほ

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ダンケルクは(多分)凄い映画

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はい.行ってきました.まず,私は映画に楽しさとか希望とか,なんかそう言う綺麗なものを求めがちの人間です.先日放送していたバトルシップを見てやはり戦艦は最高とか言う人間ですし,パシフィック・リムを見て興奮して変な汗をかいてしまう人間ですし,キングスマンを見て人がいないところで傘を振り回したくなる人間です.ジョン・ウィックとか最高すぎてもう,キアヌ好きってなる人間です(まぁあの映画は希望って感じはないけど,アクション見て楽しいできるので,ね).だから俗に言う「映画好き」ではないです.

なので,アカデミー賞とか何とか賞とか取るような,うまい表現が見つからないのですけれど,映画が本当に好きな人が好きそうな映画というのは,それほど好きではないし,まともに評価できるとは思えません.まともな映画評が読みたい人はさっさとググり直してください.もっと有益な記事があると思います.

 

その上でダンケルクダンケルクですよ.

 

この映画,ひたすら敗走を描く映画.イギリスの兵士たちがドイツに負けて,何とかしてイギリス本土に戻ろうとするのが淡々と描かれている映画です.なので,そもそもスタートからマイナス.そのマイナスをどれだけ減らさずに済むか,みたいな映画なので,楽しいとか嬉しいとか希望とか,そういう要素が削られきった印象(とは言え,少しは存在しているのですが).だから,正直私はこの映画そんなに好きな映画ではありませんでした.ただ,だからといって見る価値がないかというと,絶対にそうは言いたくありません.多分,なんか賞取るのじゃないでしょうか.兎角,凄い映画.なんだかよく分かりませんが,この映画,とりあえず,すっごいと思います.

 

ストーリーは主に3つの視点で描かれる群像劇なのですが,(これもネタバレになりそうなので伏せときます),この見せ方になるほどと唸ってしまいました.

 

急に話が飛びますが,エンドロールが面白いので,映画見終わったらエンドロールの最初の部分だけでも読んでから劇場を出てください.とにかく,とにかく,役名が役名していないのです.なんたらsoldierとか,なんたらofficerとか,boyとか,nurseとか,そんなんばっか.人の名前が驚くほど出てきません.出るには出るのですが,まぁほぼない.9割が固有名詞ではないのです.実際映画を振り返っても,名前が出た人って多分全部で3人ぐらいしかいないんじゃないでしょうか?

それぐらいにこの映画は群像劇なんです.誰か1人のお話ではない.誰かが英雄になる話でもないし,誰かの悲劇を描くわけでもないんです.キャラの個性とか背景とか,微塵も感じませんでした.個人の事情がここまで明かされない,登場人物がキャラクターにならない映画って多分私初めて見たと思います.

これを見て真っ先に思い出したのは,CODCall of Duty)です.昔,まだCODに脂がのっていた頃のCODを思い出すような映画.BGMがハンスジマーだから尚更そんなノリ.とにかく,ただの兵士がひたすら戦地から逃れようとする様子が描かれています.

 

それでも話として成り立っているのは,登場人物たちみんなが何をしようとしているかひたすらに明確だからだと私は思っています.皆とにかく生きようとしている,あるいはそれを助けようとしている,だいたいそのどちらかのみだからです.相関図もへったくれもありません.登場人物たちは皆自分がしたいこと・するべきだと思っていることを自分でしているだけ.たったそれだけです.その姿も,過度な演出があるわけでもなく,淡々と描かれています.

 

そんな中,そんな中にそれを邪魔してくるドイツ軍ですよ.これがやっばい.

私はこの映画,IMAXで見たんですが,是非IMAXで見てください.とにかくドイツ軍側が発する音の全ての臨場感がえげつないです.スクリーンでビビっている兵士たちの気持ちが痛いほどよく分かります.*1

上から急降下して攻撃して来ようとする戦闘機が無茶苦茶に怖いし,もう,つらい.

狭い船内で海水の迫る音,弾丸が鉄板に弾かれる音,何かが燃える音,爆撃機から落とされた爆弾が破裂する音,もちろん嫌になるほど発砲音も聞けます,これらの音どれもが本気で殺しに来ているのが分かります.そして何より,人がそれらの音で死んでいく声が怖いのです.もちろん,音も出さずに死んでいく人もたくさん.それらが無茶苦茶に怖い.反戦物の話って世間にはいろいろあると思うんですけど,そんなストーリーがうんたらで,故郷に家族がいるのに戦地で人殺しかよ!みたいなこと言ってくる話より,「あ,逃げようとしている!せっかくだし爆撃機飛ばしときますね😁」してくるダンケルクのほうがよほど戦争に拒絶する感情を抱く気がします.だって,怖いから.生理的な恐怖心をガンガン煽ってくるから.

今この記事書いているときに遠くでバイクがスピードを出している音が聞こえてきたんですけど,完全に映画の中で戦闘機が迫ってくる音を思い出してちょっとギョッとしてしまいました.本当に,そうなってしまう映画です.

 

この映画,何を見る映画かと言ったら,ひたすらにスクリーンにいる人たちがその場でできることをやっている様子と,それを本気で邪魔してくる上記シチュエーションを見る映画です.だから,まぁ,楽しくはない.楽しくはない映画.でも,多分凄い映画.私は映画に正当な評価を与えられる人間ではないと自負しているけど,これは凄い映画.迷っているなら,とりあえず見に行くべきだと思います.


ラストシーンとか,凄いよね.もう,ノーラン,貴様……!!というか,貴様ら……!!!って言いたくなる感じなので,是非劇場でご覧いただければ.もう一回言うけど,やっぱり,凄い映画なんだと思います.行きましょう.行きましょう.

 

 

インセプション [Blu-ray]

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*1:もう一つIMAXを強く勧める理由としては,ハンス・ジマーのBGMがブンッブン低音を鳴らしまくっているが挙げられます.インセプションの日じゃないぐらいにブォーブォーならしまくり.ダークナイトのときもでしたが常に危機感を煽り続けるような嫌らしいBGMから,緊迫感溢れるBGMまで,ハンス・ジマー仕事しすぎだった.