アクタージュに喰われたオタクの叫びをご確認ください
漫画を読んでいてゔぇって言ったのはだいぶ久しぶりな気がする。
アクタージュ act-age 1 (ジャンプコミックスDIGITAL)
- 作者: マツキタツヤ,宇佐崎しろ
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2018/05/16
- メディア: Kindle版
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普段の自分だったら掲載誌が週刊少年ジャンプという時点で敬遠するところがあるのだが(友情努力勝利の対義語がある漫画のほうが心が落ち着くのです)、私が信頼する職場の最強オタクが「それなりに濃い百合が摂取できるし、(私が苦手な)ジャンプっぽさも比較的薄めだからおすすめ」と言ってくれたので買って読んだ。
これがえっらい面白い。私はエンタメ摂取にカロリーをたくさん使う方なので漫画は連続で数冊しか読めないのだが、今回は一気に5巻全部読み干してしまった。こいつは面白い。
あらすじとしては、天才的な演技の才能を秘めた主人公「夜凪景」が、これまた天才的な映画監督である黒山と出会い、CM撮影・映画・舞台出演などを通して彼女の才能が磨かれていくというものなのだが、正直これだけだとどうにも話が掴みづらいと思う。
だいぶ語弊がある例え方をすると、この漫画は誰かに完璧に成り代わろうとする「演技」という能力で共演者と戦うバトル漫画。演技に必要なもののうち一部が極端に優れた状態だったのが1巻最初。そこから演技を重ねていくごとに彼女が演技に必要なものを獲得していき、より強力な演技ができるようになっていく。
驚異的な速度で演技が成長していく主人公の夜凪、そしてそれに驚嘆する周囲の反応・畏怖、それらを支える美麗な画力が相まって大変おもしろい。ゾクゾクする興奮が得られる。特に恐ろしいのは目である。すでにアフィリンクの表紙をご覧になっていただけたと思うが、表紙の時点で目力が凄いことが分かると思う。だが作中はこんなものではない。詳細は読んでくれとしか言いようがないが、2巻終盤、3巻序盤の芸術的な目とその力強さは私がこれまで読んだ漫画の中でも随一なんじゃなかろうか。目の強さって意味でいうとヨルムンガンドのココ・ヘクマティアルに近いものを感じる(もちろんジャンルはぜんぜん違うが、ベクトルの大きさは同じ)。
バトル漫画と例えるのも理由があって、圧倒的な演技力があるとカメラに映るだけで主演よりも映えるとか、オーディションならそのまんま相手のよりも演技力で勝って役を勝ち取るとか、演技を行うことによって周りとの勝敗が発生しているので演技が実質バトルになっている。特に前者は作中で「喰う」と表現されていて、1~3巻あたりでは役者同士の喰らい合いが繰り広げられていてこれがたまらない。ポッと出の新人女優である主人公が粗削りの演技で経験豊富な役者連中と渡り合い喰らい合うバトルは、もちろん演技なので剣がぶつかるわけでも拳を振るうわけでもない静かなものが、そこには間違いなく熱いものがある。
また、この「喰う」は4~5巻では他者の演技を盗み自分の演技を成長させることという全く別の意味で用いられており、これはこれで言い得て妙で好きだったり。相手の演技を吸収して更に強くなる能力バトルが行われていて、本当に相手を喰うのである。役者たちの演技の喰らい合いと、それによって更に成長する演技、そしてそれらによって構成される演劇・舞台は圧巻である。最新刊である5巻後半なんて、いろんなものを喰った後の夜凪が登場した時とか震える。一体何を喰ったらそんな事ができるんだ、がここにある。
そして、その、私は百合が好きな人間なんだけど。この漫画の百合は強烈。直接的ではないもののなかなか容赦がない。呼吸が苦しくなるほどに強烈である。
アクタージュ act-age 2 (ジャンプコミックスDIGITAL)
- 作者: マツキタツヤ,宇佐崎しろ
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2018/07/04
- メディア: Kindle版
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2巻の表紙にもいるこの千世子という女優。全ては彼女の存在のせいである。詳細はネタバレにもつながるのであまり書きたくないのだが、彼女は1~3巻で夜凪景と共演することになり、その中で最も演技ができる人間、すなわち作中ではその時点で最強の共演者なのだが、この強力な相手と渡り合うために夜凪景が行うこと、そしてそれに対する彼女の反応、これらは完全に百合しており僕は本当に変な声が出ました。
あと、この記事の最後に自分が気づいてあまりの強烈さにやばいと思ったところを載せておくので、本編既読の方は読んでおいてください。
というわけでアクタージュ、この先も楽しみにしています。私はここ5年ぐらい連載している漫画を書い続けるという行為を全くやらずに生きていたのですが、この漫画に関しては久しぶりに買い続けたいと思っている。てか買わない理由がない。作中の言葉を別の語義で使うならば、私は今間違いなくこの漫画に喰われている。主人公である夜凪景の物語に思考リソースを完全に奪われている。日本語を使うことを諦めて申し訳ないけど、本当にこの漫画まじで面白いんだって。はやく新刊出してくれ頼む。毎秒新刊出てくれ。頼む。
おまけ
アクタージュの百合のやべぇと思ったところですが、4巻で二人が渋谷に行くときに夜凪さんが首にしているチョーカーを5巻で千世子さんが舞台見に来るときに首にしているところですね。気づいたとき強力すぎて震えた。
— はぎょう (@ha_gyou) February 16, 2019
1~3巻の私服を見る限り、4巻の渋谷での格好は夜凪さんに私服には思えず、あれ実は千世子さんがコーディネートしたんじゃないかとか、あるいはおそろいのものをプレゼントしたんじゃないかとか、とにかくあの二人の間に強力な関係があることを示唆していて感情がバグる。
— はぎょう (@ha_gyou) February 16, 2019
これほんとヤバくないっすか????????ちょっと関係各所の有識者から意見を募りたい。ご連絡・コメントお待ちしております。